アフリカ エジプト

ファンタオレンジで知ったエジプト人の温かさ 

料理の値段が分からない!

エジプトで食事をするとメニュー表がない店があります。

メニュー表があったところでアラビア語が読めません。

そういうお店では料金を多く払ってしまったと感じることがあります。

いわゆる、ぼったくりというものですね。

料金を教える店員や別の店員の表情などから高く請求されたと分かります。

値段を聞いた時に怪しければ、お店を変えるくらいの勇気はあります。

しかし、ルクソールにいた時の私は体調がとても悪くホテルの部屋から出られないほどでした。

そのため、多少高いと感じてもそのまま注文して払ってしまうことがありました。

正規の料金で食べられるおいしいお店を見つけたときは何度も同じお店に通いました。

エジプト料理 ヒヨコ豆のスープとロズ

おいしかったけれどお金を多く払ってしまった料理

 

ファンタは3リットル買う

ルクソールで宿から出発する時そして宿に戻る時、私は毎回ファンタオレンジ1.5リットルを2本買っていました。

2本は重たいですが、バックパックに入れて遺跡を歩きました。

のどの渇きが絶えない中でどこで買えるか分からない飲み物は多く持ち歩いたほうが安全です。

宿の部屋も暑くて飲み物は欠かせないので、宿に戻る時も2本買いました。

宿がどのくらい暑いのかと言うと、夜に手洗いで洗濯した厚手のジーパンを室内に干すと翌朝には完全に乾いているくらい暑かったです。

さて、ファンタオレンジを買いに行くとお店によって値段が違いました。

異常に高い料金を請求してくるお店もあります。

そんな中、ある店に入って私は『ファンタをください』と伝えました。

店主らしき50代のおじさんは奥の冷蔵庫からファンタを取ってきました。

そして、日本人の私を一瞥した後に定価の料金を求めてきました。

定価の料金を請求するのは本来普通のことなのですが、私はそれが嬉しくて笑顔で『ありがとう』と伝えました。

すると、その店主も笑顔を返してくれました。

それから毎日そのお店に買いに行きました。

多い日には1日に3回も買いに行きました。


 

ルクソール最後の夜

最後の晩にホテルの部屋で荷物をまとめていました。

『明日は朝早いから、どこのお店も開いていないかも』

そう考えて夜8時過ぎにホテルを出て、いつものお店にファンタを買いに行きました。

『あのお店でファンタを買うのは今夜が最後か』と思いながら、喧騒とした町の中を歩き、お店に着きました。

しかし、お店はすでに営業が終わってシャッターが閉まっていたのです。

『最後にもう一度このお店で買いたかったのに・・・・・・』

気落ちしながら、今からファンタを買えるお店はどこだろうと見渡しました。

 

最後の再会

周囲を見回していると笑顔で私に近づいてくる男性が一人。

お店の店主でした。

私に握手を求めてきたので私は笑顔で握手をしました。

20代の息子らしき人も一緒にいました。

店主は「買いたいのかい?」と私に聞きました。

『お願いします』と伝えると「もちろんいいよ」と応えてくれました。

彼はポケットからキーホルダーを取り出しました。

幾つも付いている鍵の中から1つを選び、しゃがんでシャッターの鍵を開けてくれました。

暗い店の中に入って電気をつけました。

それから、私のために冷蔵庫に付けた南京錠も外してくれました。

若い息子のほうが「何を買いたいのか?」と聞くので、『ファンタオレンジ2本です』と伝えました。

息子はファンタオレンジを冷蔵庫から取り出し、そして値段を言いました。

父親の店主の値段より1.5倍も高い金額です。

私は少し驚いていたと思います。

その時でした。

店主のおじさんが息子に「それはダメだ。通常の料金にしなさい。彼は私の大切な友人だ」と言いました。

息子の男性はその時とても驚いていました。

旅行客から多めにお金をもらうのは、息子からすればきっと日常茶飯事だったのでしょう。

「経済的に豊かな日本人なのだからお金を多くもらってもいいだろう」と考えているのかもしれません。

私はいつもと同じ料金を払い、自分のためにお店を再び開けてくれたことに何度もお礼を言いました。

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旅の醍醐味

旅をしているとき、国籍、職業、年齢など自分のアイデンティティーをすべて忘れて「旅人」になるのが私は好きです。

日本では自分の職業に重責を感じることがありますが、世界を旅しているときは私は自由な存在になれます。

何のアイデンティティーもない「私」という存在です。

 

国籍も関係ありません

日本と訪問国が政治的に、経済的にどういう関係であっても旅をしている私には関係ありません

自分という「私」は多くの街を訪れて多くの人に出会いたい、好奇心旺盛で無国籍な存在です。

日本人だからということで特別な扱いを受けるのは好きではありません。

それだからこそ、近所のエジプト人に接するのと同じように「私」に接してくださったエジプト人の店主には感謝をしています。

その国の習慣、経済感覚などに完全に浸かるのが好きな私は、その店主のおかげで自分の求める旅を続けることができました。

 

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