いよいよイランを発つ日が来ました。
私はシーラーズからカタールのドーハに向かいます。
朝4時50分発の飛行機に乗ります。
そのため、午前2時にはチェックインをしたいと思いました。
でも、そんな時間に移動手段があるのか不安になり、私は前日の夜に市内から空港に向かうことにしました。
どのバスが分からない!
空港方面へ向かうバスを探し始めましたが、シーラーズを走るバスの種類はとても多くて空港行きのバスが見つかりません。
夜のシーラーズ市内は交通量が多くバスは慌ただしく運行しています。
停車しているバスの運転手に聞こうと思ったのですが、すぐに出発してしまいます。
それでも勇気を出してバスに乗り込んで運転手に「空港方面に行くかどうか」を聞いてみました。
でも、英語が理解できないようです。
ペルシア語で質問しても正しく伝わりません。
運転手さんはすぐに出発したがるので、私はバスから降りました。
イラン人にも色々な人がいます
すでに1時間以上が過ぎました・・・・・・。
「なんとか聞き出さないと!」と思い、停車中のバスに乗り込みました。
バスの運転手だけでなく、車内の乗客みんなに大声でたずねました。
そのバスに乗っていたのは高校生くらいの男子学生数人。
彼らは「このバスが空港に行く」と言って、笑顔で手招きします。
彼らの表情を見ていてすぐに分かりました。
彼らは悪ふざけをしていて本当のことを言っていないと。
私が困っているとバスの後方から高校生くらいの1人の女の子が来ました。
その子は英語で「このバスは空港には行きません。空港方面のバスは、あの道を渡って・・・・・・」と細かく教えてくれました。
本来、女性はバスの前方にある男性席を通過しないことになっていますが、その女の子は私のためにそれをしてくれました。
とても感謝しています。
イランのバスのルール
イランではバスに乗車する際に男女が分かれて座ります。
男性はバスの前方に、女性は後方に座ります。
金属のバーがその境目を仕切っています。
男女でイランを旅行する方はたとえ家族であっても別々に座ることになりますので気をつけましょう。
女性の運賃の支払い方
女性はバス前方のドアから一度入り、運転手に運賃を支払います。
女性席に向かう際には男性席を通過するのではなく、一度降りて外に出てバスの中央部にあるドアから入ります。
後払いの場合は逆の動きをします。
国際線と国内線のターミナルが違う!
夜10時頃に空港に着きました。
ここまで来れば安心です。
あとはのんびりしていればいいのです。
しかし、1時間ほど経ったあたりから徐々にターミナル内から人が減り始めたのです。
モニターを見ると離発着の便があと3つ程度しかありません。
さらに時間が経つとターミナル内の照明が消え始めました。
このままではターミナルは閉鎖されそうです。
空港スタッフに聞いてみました。
すると、「ここは国内線専用ターミナルで夜間は閉鎖するんだ。国際線ターミナルは別にある。入口を出てまっすぐ進むと右に曲がる道がある。曲がった先に国際線ターミナルがあるよ」と教えてくれました。
驚きましたが、焦ってはいませんでした。
「右に曲がるだけでいいのですから♪」
時刻は夜11時半になっていました。
チェックインの午前2時にはまだかなり時間がありました。
国内線ターミナルを出て歩き始めました。
ターミナルから離れていくほど真っ暗になっていきます。
空港周辺を歩いたことのある人はよくお分かりだと思いますが、空港は規模が大きいので徒歩で目的地まで行くにはとても長い時間がかかります。
近そうでも、とても遠いのです。
私はその真っ暗な道をずっと歩きました。
すると、後ろから車が来て「入口まで乗せていってあげるよ」と言われたので、乗せてもらいました。
空港入口で降ろしてもらい、私は言われた通りにそこから右に曲がって歩き始めました。
少し歩いたところで私の横を車が併走し始めました。
20代のイラン人男性が何人か乗っています。
「どこに行くんだ?」と聞かれたので、「国際線のターミナルに行くよ」と答えました。
すると、彼らは「国際線ターミナルはあっちだ」と言って私がさっきまでいたほうを指差しました。
どうやら彼らは国内線ターミナルと国際線ターミナルを混同しているみたいです。
私は「大丈夫です。このまま歩きます」と言って、そのまま歩き続けました。
1分ほど経って再びその車が横につきました。
「そのまま歩いても国際線ターミナルはない」と言われました。
改めて言ってくるなんて不思議でしたが、私はそのまま歩きました。
右手には空港の滑走路や飛行機の点検場などが見えてきました。
でも、どこまで行っても国際線ターミナルがありません。
何度も不安になりましたが、右に曲がるだけの行き方を間違えるはずがないのですから、そのまま歩き続けました。
焦り始める!
ついに午前2時を過ぎました。
チェックインをしたいと思っていた時間です。
はるか先を見ても国際線ターミナルらしき建物が見当たりません!
今から戻ろうにも、ここまで2時間半も歩いた道のりです。
しかも、どこにも迷う道はありませんでした。
「これは本当にやばい!」
4時50分の飛行機に乗れないのではないか・・・・・・とても焦りました。
次に車が通ったらヒッチハイクをしてみようかと思いました。
でも、夜中の2時を過ぎているので車が通りません。
焦る気持ちが頂点に達している時、次の災難が降りかかってきました。
暗がりの道からどう猛な野犬が現れたのです。
私を見つけるやいなや吠えながら突進して来ました。
ブラジルで経験した悪夢の再来です。
「致死率100%の狂犬病にはなりたくない!」と思いながら私は逃げ出しました。
全力疾走です!
野犬は怖い顔して追いかけてきます!
私が数百メートル逃げた時、軽トラックが走ってきました。
もう迷っている時間はありません。
私は後ろの野犬を警戒しながら両手を広げてトラックを止めようとしました。
トラックはスピードを落とし、私の前で止まってくれました。
トラックに乗っていたのは20代の男性3人でした。
私はすぐに扉を開けて、今の状況を説明しました。
彼らは「よし、乗りな!」と言ってくれました。
2人乗りの座席はすでに3人によって占拠されていましたが、私が乗ったことでさらにぎゅうぎゅう詰めになりました。
彼らはとても親切で私の願いをすべて聞き入れ、私を空港まで送ってくれました。
午前2時30分頃に私は国際線ターミナルに着くことができました。
なぜ道に迷ったのか?
トラックで国際線ターミナルに連れて行ってもらった時に、なぜ道に迷うことになったのかが分かりました。
最初に国際線ターミナルに向かう際に真っ暗な道を歩いていたら、途中で親切な方が車に乗せてくれました。
その車のスピードは速く、さらに外は真っ暗でした。
そのため、空港の「敷地内」に右に曲がる細い道があるとは分かりませんでした。
ちょっとしたことから、とても大きなハプニングになりました。
結果的にイランで一番記憶に残る思い出になりました・・・・・・。
ちなみにチェックインはとても遅くから始まりました。
午前3時30分くらいです。
疲れ切ってしまいましたが、次のドーハへ出発することができてよかったです。
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