ヨーロッパの鉄道を便利に利用する方法を知っていますか?
ヨーロッパを旅するときは鉄道が大変便利です。
日本と同じく中距離・長距離の鉄道が豊富にあるため、訪ねたい場所の9割以上は鉄道を利用してたどり着けます。
バスの路線も充実していますが、バスターミナルまでのアクセスが不便な場合があります。
それに比べて鉄道の駅は街の中心にありますので便利です。
ヨーロッパの鉄道を利用する場合に便利なチケットがあります。
それがユーレイルパスです。
ページ内の目次
ユーレイルパスのメリット
まずはユーレイルパスのメリットをご紹介します。
1、鉄道が乗り放題。
2、乗車のたびに乗車切符を買う手間が省ける。
切符売り場に並ぶ時間が節約できます。
3、面倒な手間がなく列車に乗り込める。
ヨーロッパの駅は日本と違って改札がありません。ユーレイルパスがあれば、駅でパスを出すこともなく自分の乗りたい列車に乗り込めます。
4、国鉄以外にも私鉄、船、美術館や博物館などを利用する際に無料や割引の特典を受けられる。
パスに特典の記載があるのでどのような特典が受けられるかチェックしましょう。
5、行動力がつく。
行動力がつくなんてたいしたメリットに聞こえないかもしれません。
でも、これはとても大きなメリットです。
いくつか見てみたい観光都市があっても毎回切符を買うと高くついてしまいます。
円安であれば尚更です。
お金の面を心配して旅の行動範囲が狭まるのは残念です。
でも、パスがあれば「今日はパスを使う日にしたから、なるべくたくさんの観光都市を訪れよう!移動すればするほど得したことになるから♪」と思えます。
積極的に移動して観光しようという気持ちが湧いてきます。
旅の充実度が増しますね。
ユーレイルパスの種類
ユーレイルパスには大きく分けて3種類あります。
国別・地域別・利用日数別などご自分に合ったパスを選びましょう。
どのユーレイルパスも初めて使用する時は駅の有人の切符売り場でパスを見せましょう。
それによりそのユーレイルパスが使用可能になります。
※隣接する数カ国を周遊できるユーレイルセレクトパスは2018年12月に廃止されました。
1、ユーレイルグローバルパス
ユーレイルグローバルパスはヨーロッパの33カ国の鉄道がすべて乗り放題になります。
後述する他のパスの特長を考慮するとユーレイルグローバルパスは5カ国以上周遊したい人におすすめです。
広い範囲を移動できる分だけ料金が少し割高です。
ユーレイルグローバルパスには2種類あります。
連続使用タイプとフレキシータイプの2種類です。
ユーレイルグローバルパス(連続使用パス)
連続使用パスは毎日のように長距離移動する人におすすめです。
一度使い始めたらその日から指定の日数が過ぎたところで期限が切れます。
以下の種類があり、使用日数に応じて料金が変わります。
・15日間 393ドル
・22日間 484ドル
・1ヶ月間 574ドル
・2ヶ月間 682ドル
・3ヶ月間 789ドル
上記の料金はユーレイルの公式ホームページの料金です。
(例)4月1日に15日間のパスを使用し始めると4月15日がパスの利用最終日になります。
ユーレイルグローバルパス(フレキシーパス)
もう1つはフレキシーパスです。
フレキシーパスは鉄道を利用したい日を選んでパスを使用します。
使用日数に応じて料金が変わります。
以下の種類があります。
・1ヵ月間で任意の4日を選択して使用する 233ドル
・1ヵ月間で任意の5日を選択して使用する 263ドル
・1ヵ月間で任意の7日を選択して使用する 315ドル
・2ヶ月間で任意の10日を選択して使用する 369ドル
・2ヶ月間で任意の15日を選択して使用する 457ドル
上記の料金はユーレイルの公式ホームページの料金です。
(例)5日分のフレキシーパスを購入して、現地に12月10日から12月22日まで滞在する場合、12月11日、14日、15日、18日、21日のように自分で日付を選んで5日分使用できます。
購入時や利用開始日に使用日を決める必要はないので、旅先で自由にスケジュールを調整できます。
せっかくの乗り放題ですので移動距離の長い日にパスを使用し、移動距離が短い日は通常チケットを購入しましょう。
なお、次のことを怠らないようにしてください。
フレキシーパスを使用したい日は当日最初の乗車前までに日付記入欄に自分で日付を記入します。
日付が未記入の場合、最大で罰金200ユーロを支払うことになります。
なお、フレキシーパスを使用して移動する際に日付をまたぐ場合は、最初の停車駅まで移動できます。
たとえば、1月1日の午後9時にローマ発の夜行列車に乗り、1月2日の午前0時7分に日付をまたいだ最初の駅ヴェネツィアに到着したとします。
この場合、1月1日のフレキシーパスでヴェネツィアまで行けます。
2、ユーレイルワンカントリーパス
ユーレイルワンカントリーパスは1カ国のみ乗り放題のパスです。
1カ国でたくさんの見どころがある場合はこのパスが大変便利です。
一方、その国の見どころが1都市周辺に集まっているような場合や小さな国の場合は、移動距離が短く元が取れないのでおすすめしません。
なお、ワンカントリーパスはすべてフレキシーパスです。
ユーレイルグローバルパスと違い、1カ国でしか使用できない分だけ1日あたりのパスの料金は安いです。
フランス、イタリア、トルコなど多くの国でユーレイルワンカントリーパスが利用できます。
なお、ユーレイルワンカントリーパスにおいてベルギー、オランダ、ルクセンブルグの3カ国は「ベネルクス」というネーミングでまとめられ、1カ国として扱われます。
私の経験からすると、ユーレイルワンカントリーパスで大変役に立つのはイタリアとドイツのパスです。
1カ国にたくさんの見どころがあるので鉄道を多く利用する機会があります。
旅のスタイルにもよりますが、元が十分に取れると思います。
3、スカンジナビアパス
デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの4か国を自由に周遊できるパスです。
フレキシーパスのみで3日、4日、5日、6日、8日の中から選びます。
年齢や座席のランクによって料金が安くなる
ユースパス
12歳以上27歳以下の人に嬉しいパスです。
通常のパスの約2割引です。
若いってすばらしいです!
※12歳以上25歳以下の場合もあります。
チャイルドパス
4歳以上12歳以下の子どもは大人1人に対して2名までパスが無料でもらえます。
子どもが生まれてもお金の面では安心して旅ができますね。
シニアパス
60歳以上の大人は割引が受けられます。
ユーレイルパスを使用する初日の時点でまだ59歳の場合は通常のパスを購入しなければいけませんのでご注意ください。
座席のランク
ヨーロッパの鉄道車両には1等車と2等車があります。
1等車
1等車のほうがチケット代が高いです。
混雑することはほとんどなく、座席の幅も広く快適です。
路線によってはお菓子やウェットティッシュが無料でもらえます。
また、1等車のパスを持っている人は2等車の席に座っても構いません。
路線によっては2等車しかないこともあるので、その場合は2等席に座りましょう。
私の経験 ~1等車~
2等車は満席なのに1等車は自分1人だけということが何度もありました。
ビシッとスーツで決めているビジネスマンが2等車に座っていて、バックパッカーの自分が1等車に一人で座っているのは妙な気分です。
でも、快適なのは間違いありません♪
一部の路線では同じ車両内に1等車用の座席と2等車用の座席が並んでいることがあります。
前方の3列だけが1等車用の座席で、後方の20列が2等車用の座席でした。
私一人だけ悠々と1等席に座っていて、後方の2等席は満席で立っている人もいます。
このように1等車のパスは高い分だけ座席を確保できるメリットがあります。
2等車
2等車はチケットが安いので地元の人たちが多く利用しています。
特典はありませんが、安く済ませられるのはメリットです。
1等車と2等車に清潔度の差が出ることもまずありません。
清潔度は路線によって差が生じます。
私の経験 ~2等車~
めったにありませんが、路線や時間帯によって座席に座れないことがあります。
長距離移動で座れないと忍耐との戦いになります。
特に夜行列車の場合は眠れなくてつらいです。
スロバキアからポーランドへ夜行列車で行った際、座席に座れなくて夜中に何時間もデッキで立っていました。
パスを購入する際の注意点
出発前に日本で購入しておく
ここまでに紹介したお得なユーレイルパスはヨーロッパに居住する人は買えません。
観光目的で訪れる外国人向けのパスです。
そのため、基本的に現地では買えません。
出発前にJTBなどの旅行会社で航空券と共に買っておくのがおすすめです。
ところで、日本でも外国人向けに同じサービスがあります。
ジャパン・レール・パスというもので新幹線なども乗り放題です。
どうりで外国人旅行客が新幹線によく乗っているわけですね。
日本に居住する私たちは購入することはできません。
ユーレイルパスの形式
ユーレイルパスは紙のパスとモバイルパスの2種類があります。
紙のパス
紙のパスは、列車内で検札係から切符の提示を求められたらパスを見せる昔ながらのスタイルです。
紙のパスを購入するとパスカバーも郵送されてきます。
パスカバーには旅行の行程を記入する欄があります。
列車に乗車する前にパスカバーに出発時間、出発駅、到着駅を必ず記録してください。
検札係がその内容を確認します。
未記入で乗車していると、その乗車についてパスは無効扱いになりますので気を付けましょう。
モバイルパス
モバイルパスは、スマートフォンをパスとして使用します。
モバイルパスを購入すると、スマートフォンに専用アプリをダウンロードできるようになります。
手順に従って操作すると、専用アプリでパスが利用できるようになります。
現地で利用する際にはスマホの画面を見せればよいだけです。
ペーパーレスで便利な一方で、旅先でインターネットに接続する必要があります。
また、長旅でスマートフォンの充電が切れてしまうとモバイルパスを見せられなくなりますので注意が必要です。
パスの料金を比較する
料金は販売店(旅行会社)によって違いますので比較してみましょう。
ユーレイルパスの公式サイトで購入すれば余計な手数料がつかないので安く購入できます。
なお、販売店はすべてのパスを取り扱っているわけではありません。
購入する前にパスが本当に必要か検討する
ユーレイルパスは1日に何都市も移動したい人におすすめです。
パスは乗り放題だけあって値段が高いです。
短距離の移動でパスを使うとかえって損をします。
損をしないために日本で旅のプランを考えてパスが必要か判断しましょう。
現地に7日間滞在する場合の例を2つ挙げてみますので参考にしてください。
ケース1
旅のプランを立ててみたら毎日数十km程度しか移動しないと分かった。
→元が取れない可能性が高いのでパスは不要です。鉄道を利用するたびに切符を購入しましょう。
ケース2
旅のプランを立ててみると、7日間の旅行で数百キロに及ぶ長距離移動するのは4日間、それ以外の3日は市内観光や短距離移動のみだと分かった。
→4日間分のパスを購入しましょう。7日間滞在するからといって7日分のパスを購入する必要はありません。
パスを利用する際の注意点
利用開始の手続き
ユーレイルパスは購入しただけでは有効ではありません。
パスを使い始める前に利用開始の手続きを行う必要があります。
日本国内で旅行する際にはこの手続きの経験はないですよね。
なので、私たちは手続きが必要だと言われてもその必要性があまり理解できないかもしれません。
けれども、ユーレイルパスは「このパスを有効にします」という開始の手続きをしなければなりません。
方法は以下の2つから選びます。
どちらもとても簡単です。
・ヨーロッパの鉄道駅で手続きをする
旅先でユーレイルパスを使い始める最初の日に鉄道駅のチケットオフィスに行ってユーレイルパスを見せましょう。
係員がパスに利用開始のスタンプを押してくれます。
これでパスは有効です。
・Eurail.com で手続きをする
モバイルパスを購入する場合はオンラインで利用開始の手続きができます。
ただし、旅行の日程が未定な場合、パスポートを新規申し込み中でパスポート番号がわからない場合は手続きできません。
モバイルパスの場合は設定方法がユーレイル公式ホームページに紹介されています。
追加料金の有無
乗り放題のパスだけでは乗れない場合があります。
たとえば、座席指定が必要な列車は座席指定料金を追加で支払わなければいけません。
また、寝台列車は座席の種類による追加料金を支払うことがあります。
通常の座席に座るかベッドを使用するかで料金が異なるので、事前に窓口で席のタイプを選んで追加料金を支払いましょう。
怠ると車掌に乗車拒否されます。
その場合、同じ目的地に向かう次の列車に乗るために何時間も待機することになります。
1日待つこともあります。
心配な方は乗車前に現地の駅構内にあるチケット窓口に行き、そこでユーレイルパスを見せて追加料金を求められたら支払いましょう。
なお、多くの夜行列車はベッドタイプの席がなく追加料金は不要です。
ヨーロッパを鉄道で旅行するときに持って行きたい本
『ヨーロッパ鉄道時刻表』です。
英語表記は「European Rail Timetable」です。
この本なしで鉄道の旅をするのはかなり苦労すると思います。
最新のダイヤが掲載されている時刻表を用意しましょう。
スマホを持っていれば鉄道時刻を確認することもできます。
個人的には本で見たほうが前後の時刻が一目で分かるのでおすすめです。
特に、私のようにその時の状況によって次の目的地を決める人は、本のほうがさまざまなルートを一度に知ることができて便利だと思います。
最後に
ユーレイルパスについてできる限りの情報を掲載いたしました。
ユーレイルパスは2019年に内容を大きく刷新しましたが、今後も状況にあわせて改善を図ると思われます。
旅行する際には最新の状況を確認しましょう。
すてきな旅行になるよう心から願っています。
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