エチミアジンに行きたい!
アルメニアを訪れた最大の目的はエチミアジン大聖堂に行くことでした。
その名の通り、大聖堂はエチミアジンという町にあります。
エチミアジンに行くマルシュルートカに乗るため、エレヴァンの中央バスターミナル前まで来ました。
マルシュルートカとは小型の乗合バスです。
同じ方向、同じ目的地に行く乗客が集まると出発します。
しかし、いくら探してもマルシュルートカ乗り場が見当たりません。
誰か教えてください・・・・・・
外を歩いている誰かに乗り場を聞きたいのですが、ジョージアと同じくアルメニアでも英語がほとんど通じません。
さらにアルメニア人はあまり愛想が良くないため、話しかけても相手にしてくれないことがほとんどです。
個人的な感想も書かせていただきますと、アルメニアやジョージアの人達はアジア人の私をちょっと見下すような顔で見てくる人が多いです。
大げさではなく本当に多いです・・・・・・。
たとえばスーパーマーケットで買い物をするとアルメニア人の店員は私がレジで支払った紙幣や硬貨を汚い物を触るかのように扱いました。
盗難被害に遭った直後なだけに精神的なダメージを受けました。
さて、そんなこんなでなかなか道を聞き出せません。
今まで人と話すことで旅の目的地にたどり着いていた私にとっては時間だけが過ぎて困りました。
2月のアルメニアは昼間でも気温が0℃程度なので体が凍えます。
マルシュルートカ乗り場はどこ!?
30分ほど時間をロスして分かったことはマルシュルートカ乗り場の看板や案内は一切ないということです。
その間、道路脇に黒い乗用車が数台並んで停車していること、そのそばに複数の男性が退屈しのぎに話している様子を目にしていました。
どうやらこの乗用車がマルシュルートカでその男達が運転手のようです。
ただ愛想は良くなさそうです。
アルメニアにも親切な人はいる!
初老の男性が近くを通りかかりました。
この人に聞こうと覚悟を決めて、エチミアジンに行きたいことを伝えました。
アルメニア語しか話せない男性に、「エチミアジン」、そしてその町の観光スポットの名前を繰り返し伝えました。
ようやく理解した男性は私の手を引っ張り、道路の反対側に渡りました。
男性は先ほどの男達のところへ行き、アルメニア語で私の行き先を説明してくれているようでした。
それから男性はマルシュルートカのドアを開けて、アルメニア語で「このマルシュルートカでエチミアジンに行くから乗って出発するのを待っていなさい」と私に言ってくれたようでした。
その親切な男性は再び運転手の人達と話し始めました。
乗車料金をめぐって私を守ってくれた
数分ほど過ぎました。
その男性が私の乗り込んだマルシュルートカのドアを開けて、「お金はあるかい。見せてみなさい」と私に言いました。
私は硬貨を持っていなかったので紙幣を見せました。
男性は運転手に「運賃はいくらだ?」と聞くと、運転手たちが料金を答えました。
男性は「いや、もっと安いはずだろう」
運転手「外国人からは高い料金をもらっているんだ」
男性「ダメだ。正規の料金にしなさい」
運転手たちは不満な顔をして拒否します。
すると、男性は私の肩に手を置いて「私の友人だ。友人から法外な金額を要求するのは許さない!」と言ってくれました。
いや、言ってくれたのだと思います。
アルメニア語は理解できません。
でも、同じような場面で守ってもらったことが他国でも何度もあるので、男性と運転手との会話はきっと間違っていないと思います。
限りなく親切なのです!
そんなやり取りをしているところに別の初老の男性が通りかかりました。
どうやら二人は知り合いのようです。
男性はその通りかかった男性に硬貨をもっているか尋ねました。
それから、譲り受けた硬貨と男性自身が持っていた硬貨を運転手に渡して「これが彼の乗車代だ」と言いました。
そして、私に「これでエチミアジンに行ける。君は何も払わなくていい」と笑顔で言って、去って行きました。
なんと優しいのでしょう。
優しいアルメニアの方に出会えたことでアルメニアが大好きになりました。
その国のことを好きになるかどうかはその国の人との出会いが大切だと改めて感じました。
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